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空き家を相続したときの税金はどうなる?譲渡所得の計算や費用の注意点も紹介

税金全般

石月 ゆかり

筆者 石月 ゆかり

不動産キャリア3年

不動産のお悩みが少しでもございましたら、お聴かせください。心よりお待ちしております。


空き家を相続すると、思わぬ税金や費用が発生することをご存じでしょうか。例えば、相続税や固定資産税、さらには売却時の譲渡所得税など、知っておかないと損してしまうことも少なくありません。この記事では、空き家を相続した方が知っておくべき税金や費用の仕組みと計算方法について、丁寧に解説します。空き家の売却を検討している方や、税制優遇をうまく活用したい方にも、役立つ情報をお伝えします。

空き家を相続した際にかかる税金と維持費の全体像

相続によって空き家を取得すると、不動産の維持にかかる費用や各種税金の負担が生じます。相続にかかる相続税に加えて、所有を続ける限り固定資産税や維持管理費が発生します。また、将来売却する場合には譲渡所得税の税率が所有期間によって異なり、被相続人の所有期間を引き継げる点も重要です。

まず、相続した家屋や土地には相続税が課されます。評価方法には固定資産税評価額や路線価が用いられ、評価額に応じて相続税額が決まります。

次に、空き家をそのまま保有すると、毎年の固定資産税や都市計画税、さらに建物の老朽化に伴う維持管理費も発生します。これらは現実的な負担となります。

将来的に売却するときには譲渡所得税が課され、その税率は所有期間が「長期」(5年超)か「短期」(5年以下)かで異なります。相続した場合は被相続人の所有期間を通算できるため、長期間所有していれば通常「長期譲渡」に該当し、節税につながります。

以下に主な項目をまとめた表をご参照ください。

項目内容考慮点
相続税 路線価や固定資産税評価額に基づく評価 評価方法により税額が変動
固定資産税・維持管理費 毎年発生する税金および建物管理費 空き家の状態・築年数で負担が異なる
譲渡所得税 売却時に課される所得税・住民税 所有期間により税率が変わる(例:長期約20%、短期約40%)

このように、相続した空き家の負担は税金面・維持費面で多様な側面があります。特に譲渡所得税については所有期間が税率に大きく影響するため、取得日や売却のタイミングを確認することが重要です。

――以上が「」に対応する本文です。

譲渡所得税の計算方法と所有期間による税率の違い

譲渡所得税を理解するためには、まず以下の表のように「譲渡所得の計算方法」と「税率区分」を押さえることが重要です。専門用語を避けつつ、シンプルにまとめます。

項目内容備考
譲渡所得売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)取得費には被相続人の購入価格や建築費、譲渡費用には仲介手数料などを含む
長期譲渡(所有5年超)税率 合計 約20.315%所得税15%+住民税5%+復興特別所得税(所得税の2.1%相当)
短期譲渡(所有5年以下)税率 合計 約39.63%所得税30%+住民税9%+復興特別所得税(所得税の2.1%相当)

このように、譲渡所得は「売却価格から取得費と譲渡費用を差し引くことで求められ」、その結果から税額が算出されます。取得費には被相続人が支払った価格を引き継ぐもので、評価額ではありません。また、譲渡費用としては仲介手数料や測量費、解体費などが該当します。

譲渡所得税の税率は、所有期間の長短によって大きく変わります。所有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」として税率は約20%台に抑えられます。一方、5年以下だと「短期譲渡所得」として税率は約39%にもなります。この差は非常に大きいため、売却のタイミングは慎重に判断することが重要です。

特に相続によって空き家を取得した場合には、被相続人の取得日をそのまま引き継ぐため、たとえ相続人がすぐに売却しても、長期譲渡の低い税率が適用されるのが一般的です。一般の売買と異なり、取得日が相続前に遡る点において相続特有の優位性があります。

なお、復興特別所得税は令和19 年分(西暦2037年)まで適用される予定であることにも留意が必要です。

空き家売却で使える主な税制優遇・特例とその注意点

相続した空き家の売却にあたっては、「空き家特例」による譲渡所得の特別控除や、「取得費加算の特例」といった有力な制度が用意されています。ただし、それぞれ適用条件や利用できる期限が異なり、どちらか一方しか選べない場合もありますので、注意が必要です。

特例名 主な内容 注意事項
空き家特例 譲渡所得から最大3000万円を控除(築年数や耐震要件あり) 被相続人の居住用建物であること、売却代金1億円以下、耐震改修または解体が必要、相続人が多数の場合控除額制限あり
取得費加算の特例 相続税額の一部を取得費に加算し譲渡所得を圧縮 相続税が課されていること、相続税申告期限後3年以内の売却が必要、空き家特例と併用不可
適用の併用・制限 制度によっては併用可能な場合あり 空き家特例と取得費加算の特例は併用不可。適用期限や相続人の人数による控除額制限あり。

以下、それぞれの制度について詳しくご説明いたします。

まず「空き家特例」は、被相続人が居住していた家屋と敷地を相続した場合、一定の要件を満たすことで譲渡所得から最多3,000万円を控除できる制度です。建築が昭和56年5月31日以前であることや、耐震基準の適合または解体などの条件があります。また、売却価格は1億円以下である必要があり、相続人が3人以上いる場合は、一人あたり2,000万円までに控除額が制限されるようになっています。

一方、「取得費加算の特例」は、相続税を納めた場合に、その税負担の一部を譲渡時の取得費に加算できる制度です。相続税申告期限(通常は相続開始から10か月以内)の翌日以降、3年以内に売却した場合に利用可能で、譲渡所得税の節税効果が大きいのが特徴です。

この二つの特例は、両方とも譲渡所得を減らすという点で有益ですが、いずれか一方しか選択できません。たとえば空き家特例と取得費加算特例は同時に利用できず、どちらが節税に有利か検討した上で選ぶ必要があります。

さらに、空き家特例には適用期限があり、相続後から売却までの期間や制度の終了時期によって利用できなくなる可能性があります。また、上記の相続人が複数いる場合の控除制限や、耐震改修・取り壊しにかかる費用負担も考慮しなければなりません。

これらの特例制度は、正確な適用判定や手続きの要件確認が複雑です。制度の利用を検討される際には、早めに税理士と相談し、最適な選択をご判断されることをおすすめいたします。

譲渡所得税以外に発生する税金・費用と申告のポイント

空き家を相続後に譲渡する際には、譲渡所得税以外にもいくつかの税金や費用が発生します。

まず、売買契約書を作成する際には印紙税が必要です。これは契約書に収入印紙を貼り、消印することで納税する仕組みです。契約金額に応じて税額が決まり、たとえば売買金額が1,000万円超~5,000万円以下なら1万円の印紙税がかかります(契約書を売主と買主がそれぞれ保管する場合、各々が負担するため2部で2万円)。

次に、登録免許税についてです。不動産の名義を変更する「相続登記」や、住宅ローン完済時の「抵当権抹消登記」にかかる税金です。相続登記の場合は、不動産の固定資産評価額の0.4%となり、例えば評価額1,000万円であれば4万円の登録免許税です。さらに、抵当権抹消登記は1件あたり1,000円程度となります。

また、確定申告時に必要な書類と手続きの流れも理解が必要です。譲渡所得税は、売却した翌年に確定申告を行い、所得税および住民税・復興特別所得税を納付します。譲渡所得の計算には「譲渡価格-取得費-譲渡費用-特別控除」が用いられ、必要書類として売買契約書、登記関連書類、取得費や譲渡費用を証明する書類などが求められます。国税庁の申告支援やe‑Taxの利用によって、書類作成の負担を軽減することも可能です。

さらに、税制優遇を活用する際の申告上の注意点も重要です。たとえば「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」は、一定の要件を満たす相続空き家の売却に適用されますが、相続税の取得費加算の特例とは併用できないため、どちらか一方を選択する必要があります。また、この特例には適用期限があり、売却時期や相続人の居住状況など細かい条件を確認することが必要です。

以下の表は主な税金・費用と申告のポイントを整理したものです。

項目内容ポイント
印紙税売買契約書作成時に貼付する税金契約金額に応じた税額。契約書は通常2部作成。
登録免許税相続登記や抵当権抹消登記にかかる税金相続登記は評価額の0.4%、抵当権抹消は1,000円程度。
確定申告関連譲渡所得報告および申告手続き必要書類の準備とe‑Tax活用で負担軽減。

このように、譲渡所得税以外にも複数の税金や手続きが関わりますので、売却前に整理しておくと安心です。

まとめ

空き家を相続した際には、相続税だけでなく、固定資産税や維持費、さらに売却時の譲渡所得税など多くの税金や費用が発生します。特に譲渡所得税は、所有期間や取得費、譲渡費用の把握が大切です。空き家特例や取得費加算の特例など、税制優遇制度も条件が細かいため、適用できるか早めに確認しましょう。税制は改正されることも多いため、迷う点は専門家に相談しながら進めることが安心です。申告手続きのポイントも押さえ、後悔のない相続や売却につなげてください。

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